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中目黒祐二のブログ

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日記

ピザ・パニーニ研究所 オリジナルカスタードクリームでスイーツ感覚

私がNOCEのバイヤーだと言うことは知られているが、ピザ・パニーニ研究所の所長である事はあまり知られていない。
この研究所は、極秘に作られ公開されたのは2013年、10年前である。
過去、私は家具買い付けと開発のため、年数回渡航していた。
そのとき、ランチに食していたものが、ピザ、パニーニであった。
当時日本でピザは、レベルの高いものが見受けられたが、パニーニは全くイタリアとは別物であった。
私はここに着目し、パニーニの研究に至ったのである。
研究所では、日々様々な実験を繰り返した。(10年前のブログを参照)
その過程で、根本的にパンがイタリアのものと違うという結論が導かれたのである。
そこで、私はイタリアの友人に依頼し、極秘にパンの製造に関するレシピを入手した。
それから、研究所では毎日、粉、イーストなどの配合を調整しながら、実験を繰り返し、遂にイタリアに近いものが完成したのであった。
このパニーニの成果を具体化した所が、下北沢にあるカフェ・ノルマーレである。
それでは、通常のパニーニについて説明しよう。

これは、ミキサーである。
パンの性格から愛工舎にものを選択した。
粉についての詳細は控えさせていただく。
作るパンの量に応じ、粉、イーストなどを配合し、そのときの粉の温度と室温を計測した後、水の温度を決定し、適量を加えミキサーを回す。
この時、温度を間違えるとすべて終了となる。
なぜならば、ミキサーを回したときに温度が上昇するため、温度が高いと過醗酵となってしまうからである。

ミキサーで回した後、種は一次醗酵の過程に入る。
これは、ホイロと呼ばれる庫内の湿度と温度を固定する自動醗酵機である。
この機械により、室内の温度や湿度に左右される事なく安定した醗酵管理ができるのである。

ホイロから取り出された一次醗酵を終えた種は、ひとつひとつ軽量され丸めていく。
この過程を「分割丸め」と言う。
数個ならある程度の心得や趣味程度ならできるが、一度に数十個となると容易ではない。
分割丸めの際にも醗酵が進行しているからである。
つまり、生き物と同じなのだ。
分割丸め作業が終わると、一旦生地を休める「ベンチタイム」になる。
この後、醗酵した生地から発生するガスを抜きながら(パンチング)更に丸く成型し、再びホイロに入れ二次醗酵を行う。
タイマーを翌朝ベストコンディションになるように設定し一晩寝かせる。

翌朝、このデッキオーブンで上火と下火の温度を調整し焼成する。
焼き上げの時間は、その日の温度、湿度で変わるが勘でしかない。
このデッキオーブンは、遠赤仕様で床板に石を使用し、無駄のない熱効率を実現している。

こうして出来上がったのがパニーニ用のパンである。
上の段は、ベンチタイム中の生地でその上は、最近売り出しているフォカッチャである。

象徴的なメニューは、生ハムとモッツァレラチーズを組み合わせグリルするものである。
このハムは、スペイン産ハモンセラーノのブロックである。
以前は、イタリア産パルマハムを使用していたが、イタリアでの豚インフルにより輸入禁止となりスペインに変えている。
パルマ、ハモンセラーノ、金華は、世界3大生ハムである。

ハモンセラーノは、このスライサーで0.7ミリの薄さで切りパンに挟む。
薄くすると香りがより引き立つからである。
また、香りが損なわれるため、スライスはオーダーが入ってから行い作り置きはしない。

パンにハモンセラーノを乗せ、更にイタリア製モッツァレラチーズを挟み、このグリラーで少し圧縮を加え焼き上げる。
とろけたチーズとハモンセラーノの香り、カリカリのパンのコンビネーションは絶品である。

カフェである以上、カフェ部門も一切手抜きなしである。
ラッテは、イタリア製カフェマシーン「チンバリー」で作る。

店内は、現在ポーランド製トーネットチェアをフィーチャーリングしている。
このロングテーブルは、私の手作りによるものである。

その朝、当研究所主席研究員から連絡があった。
「所長!ついにカスタードクリームが・・・完成しました!」と。
極秘に開発していた「開発ナンバーS548700」である。
ブランド濃厚赤玉子、生のバニラビーンズを使用した至極の逸品である。
下北沢駅を背に

逸る気持ちを抑えつつ、左方向のグリーンの柵を歩く。

右にピアニストが奏でている。
ひとりの御婦人がオーディエンスである。
シュールであるが、立ち止まる余裕などない。

グリーンの柵を超え、北に向かう。
いつも会話するスパゲッティ店のシェフであるが、今日はご遠慮いただく。

進むと

「お売り下さい」の看板が見えてきた。
売るものがない場合、何気なく通り過ぎればいい。
売るものがなくても気にする事を強制するものではない。

やがて突き当たる。

右に曲がらなければならない。
左に行くとNOCEであるが、今日は割愛させていただいた。
カスタードクリームのためである。

すぐにカラオケ店がある。
まねかれて下北沢を舞台にした「ぼっちざろっく」を歌いたいところだが我慢した。
カスタードクリームのためである。

カフェ・ノルマーレに到着した。

ドアを開け店内に入るとできたてのカスタードクリームがあった。
早速パニーニで試した。
焼きあがったカスタードクリーム・パニーニは、温まったカスタードクリームの甘さが引き立ち、カリカリのパンと溶け合い抜群のハーモニーを奏でているではないか。
プロジェクトは成功に終わった。
ドリンクとのセットで750円である。
スイーツパニーニの開発はまだ発展途上であり、先は長く険しい道のりになるであろう。
それでも決してくじけてはならない。
次の「開発ナンバーS548904」が待っている。
内容は、当然極秘である。

最後に、ここまで読んでいただいた方のご努力に感謝申し上げるしだいである。

ピザ・パニーニ研究所
所長 中目黒祐二