突然ですが、10年間続けてきた手作りパンのパニーニを売りにしたカフェ・ノルマーレが閉店することをお知らせいたします。

尚、「ピザ・パニーニ研究所」のお店は「Cafe NOCE」として「シモキタエキウエ」に先月オープンしています。

粉から作るパンを使ったパニーニは変わりません。

なぜ、閉店か・・・ですが、建物の取り壊しです。

研究所は、Cafe NOCEで存在しているのです。

その日の朝、私はカフェ・ノリマーレの前にいた。

店の前には閉店を告知する張り紙があった。

振り返るともう10年が過ぎていた。

どうしてもイタリアで何度も食べたパニーニが忘れられず、その味を追求したあのころ・・・・。

こんな日が来るとは思わずにいた。

今日は、エキウエのパンを焼くためにひとりここに来た。

ドアを開け店内に入ると、2度と開く事のない店から開店準備を即されているようだった。

灯りの消えた店内から、まだ人々の談笑が残っていた。

10年前のレセプションを思い出していた。

イタリア仕込みのパニーニ・・・期待と不安で開店したこと・・・

みんな壊され、時空に取り残されていく・・・。

ここにあった家具も

音楽も

人々の想い出さえ・・。

涙でかすむ窓の外は雨・・・。

私が作った杉無垢材で作った7メートルのテーブル、丸ノコで木くずまみれになった。

気を取り直し最後のパンを焼こう。

ミキサーに火を入れる。

低速3分。

高速10分

液状の粉が丸まっていく。

一次醗酵、分割まるめ、ベンチタイム、成形の過程を終えドゥコンディショナーで二次醗酵を終え

デッキオーブンに突っ込む。

10年間やってきた仕事だ。

デッキオーブンから焼き上がりを知らせる笛が鳴る。

オーブンを開けると焼き立てパンのいい香りがする。

トレーを架台にのせ「あら熱」を取る。

パンひとつひとつ全てに愛情を込める。

だから、すべてひとつひとつに個性があるように違う。

パンひとつ・・・おいしいパニーニになれ！って。

今日は、40個のパンをノルマーレで焼いた。

そのパンは、Cafe NOCEでおいしいパニーニなるようにと・・・。

ノルマーレ閉店のレクイエム。

 

私の研究は続いている。

エキウエの極小スペースでも粉からパンを作る挑戦をしている。

現在、環境は整っている。

後は成功するか否か。